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無縁仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

むえんぼとけ/無縁仏

祀り手のない精霊のこと。地方によって無縁仏の概念は異なるが、人間として寿命を全うし、祖霊となって帰るべき家を持つ霊である本仏ほんぼとけとは区別された扱いを受ける霊である。無縁仏には帰るべき家のない遊魂ゆうこんと、祀る子孫のない霊という二種があり、前者は行き倒れ、漂流死体といった地域社会の共同管理ないし家という祭祀単位のない霊であり、後者は絶家などで祭祀者のない霊である。無縁仏は墓、位牌盆行事などにおいて本仏と区別されて祭祀されることが多く、盆行事においては、空間、供物、祭式において本仏と区別されて祀られることも少なくない。


【参考】伊藤唯眞『仏教と民俗宗教』(国書刊行会、一九八四)、藤井正雄「無縁仏考」(『日本民俗学』七四、一九七一)、柳田国男「先祖の話」(『柳田国男全集』一五、筑摩書房、一九九八)、高谷重夫『盆行事の民俗学的研究』(岩田書院、一九九五)、田中久夫「盂蘭盆会と無縁仏」(伊藤唯眞編『仏教民俗学大系六 仏教年中行事』名著出版、一九八六)


【参照項目】➡盆行事


【執筆者:名和清隆】