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泣女

提供: 新纂浄土宗大辞典

なきおんな/泣女

葬列埋葬の際に、女性が儀礼的に泣く習俗。例えば鹿児島県中甑なかこしき島では、葬列で血縁の女性が大声で泣かなければ他人から笑いものになるといわれ、両側についた友人の肩に両手でもたれながら泣くという。また、福井県や石川県の一部では報酬を払い泣女に泣くことを依頼する例も見られ、支払う米の量によって一升泣き、三升泣きなどといい、報酬の多少により泣き方が異なったという。なお、中国、朝鮮半島にも同様の習俗が見られる。涕泣ていきゅう儀礼によって、死者をよみがえらせようとする呪術であったとも考えられている。


【参考】井之口章次『日本の葬式』(早川書房、一九六五)


【参照項目】➡葬送儀礼


【執筆者:名和清隆】