梵行
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぼんぎょう/梵行
欲望を断ずるための清浄な修行。ⓈbrahmacaryaⓅbrahmacariyaの訳。この場合の梵(brahma)は「清浄」を意味する。インドの正統宗教であったバラモン教において、婆羅門の生涯は四期に分けられるが、その第一が梵行(学生)期と呼ばれ、ヴェーダの学習や祭祀の習得に専念する期間である。この時期の婆羅門は師匠の家に入って身心を清浄にし、精進する。仏典でこの語が用いられる際には、戒律を保って婬欲を断つために比丘・比丘尼が行う清浄な行を意味し、『増一阿含経』三〇では「もし人ありて戒律具足して所犯なくば、これを清浄にして梵行を修得すと名づく」(正蔵二・七一四下)、また『大智度論』二〇では「婬欲の法を断ずるを名づけて梵行となす」(正蔵二五・二一一中)と説かれている。またこの語は、初期経典において「さあ比丘よ、法は見事に説かれた。苦を完全に終わらせるために、梵行を修しなさい」というように、ブッダが出家を表明した者を励ます言葉の中にも頻出し、さらには『無量寿経』においても阿弥陀仏の四十八願中に第三十六常修梵行願を見ることができる。
【参照項目】➡常修梵行願
【執筆者:平岡聡】