読経・唱題の拍子をとるために用いる伏鉦ふせがね形の木製仏具。主に日蓮宗で使用されている。材料は欅けやき、楓、桜などが多く、花梨かりん、紫檀したん、黒檀こくたんなども用いられる。先端に木製の珠たまのついた桴ばちで打ち鳴らす。起源は比較的新しく、現在のかたちの木鉦は明治時代、伏鉦をもとに名古屋で考案された。その後、明治三五年(一九〇二)頃に身延の旅館梅屋の主人が木工職人に造らせて、身延山内寺院でも使用されるようになり、全国に普及していった。
【執筆者:八木千暁】