ねんぶつえんぎみだかんげじきげ/念仏縁起弥陀観偈直解
一巻。張淵述。清・同治一三年(一八七四)刊。中国近代の浄土教の法式に用いた讃文『弥陀観偈』を詳釈したもの。阿弥陀仏を礼讃する一偈八句の偈文に、句を追って詳注を施している。生前造罪の者でさえ、臨終のとき地獄の悪相現前し猛火が来襲することに対し、それを一陣の清涼の風と化して浄土に帰することができるのは、懺悔の力が強く、一念よく百年悠悠の業力を抵ぐからであると解釈し、それを『観経』下品往生によって示している。また、西方浄土は凡聖同居でただ人天の二趣のみであると示すことから、著者の思想を知ることができる。
【所収】続蔵六二
【執筆者:瀧沢行彦】