一巻。『浄土要略抄』と同じく、向阿証賢が、師である礼阿然空の教えをまとめ記したもの。内容は然空が新陽明門院の問いに対して注進したものであり、三心をいかに心得べきかとの御尋おんたずねや、懈怠の身でも仏の御心に契かなうのかとの御疑おんうたがい、ひまなく念仏が申されないとの御事おんことなど、およそ七つの疑謗に対して仮名書きでまとめられている。題目は後に向阿が付けたものであり、宝永二年(一七〇五)と文化九年(一八一二)の二種の刊本がある。
【所収】続浄九
【参照項目】➡浄土要略抄
【執筆者:兼岩和広】