引込紫衣地
提供: 新纂浄土宗大辞典
ひっこみしえじ/引込紫衣地
江戸時代における寺格の一つ。紫衣檀林寺院に相当する名刹。京都の金戒光明寺・清浄華院・知恩寺、岡崎の大樹寺、駿府の宝台院、江戸の天徳寺・誓願寺の七箇寺。これらの寺院は、本山や幕府の菩提寺であるが、これらの住職となると、以後の英転は望めなかったため引込といわれ、隠居・閉門と同様にみられた。そのため、前途に可能性のある香衣檀林の能化は嫌がり、種々の理由をつけて幕命に従わなかったため、混乱を引き起こした。
【資料】『諸宗階級』上(『続々群書類従』一二)
【参考】大島泰信『浄土宗史』(浄全二〇)、宇高良哲「浄土宗の触頭制度について」(『法然浄土教の綜合的研究』山喜房仏書林、一九八四)
【執筆者:𠮷水成正】