巡教
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅんきょう/巡教
僧侶が諸方を巡って布教教化することをいう。現在、浄土宗においては「門主又は法主が、一定の期間に一定の地域を巡回し、親しく教化する布教」(布教伝道規程・第四条の二)をいう。「(御)親教」ともいう。明治二二年(一八八九)に示された「改正浄土宗宗制」の中で「管長は、一宗を統理し教化を純粋ならしめ、時宜に依り親ら巡教し、又は代理をして巡教せしむ」と明言され巡教制度が始められるが、大正期になると布教規則の中で「布教師が管長の指定に依り各地に巡回布教するを巡教と称す」と指定巡教が定められ、また親諭に基づく布教が指示されている。昭和一六年(一九四一)「宗制」以降、指定巡教は指定布教に名をかえた。なお、指定巡教が全教区の特定寺院を選んだ巡教をいうのに対し、広く一般に対し社会事象に関連した宗教的啓発の講演を目的とした巡教を特命巡教という。
【資料】『浄土宗宗門法制類纂』
【執筆者:慶野匡文】