あんらくののうにん/安楽の能人
安楽国土の主であり建立者である阿弥陀仏のこと。善導の『観経疏』玄義分の「娑婆の化主はその請に因るがゆえに、すなわち広く浄土の要門を開き、安楽の能人は別意の弘願を顕彰したもう」(聖典二・一六二/浄全二・二上)が出典。善導は娑婆の化主である釈尊が韋提希夫人の要請によって『観経』を説示し、安楽の能人である阿弥陀仏は四十八願を明らかにしたと述べ、さらに「釈迦はこの方より発遣し、弥陀はすなわち彼の国より来迎したまう。かしこに喚び、ここに遣る」(聖典二・一六二/浄全二・二上)といい、釈尊と阿弥陀仏とが相互に向かい合う構造を提示している。
【執筆者:柴田泰山】