安居院
提供: 新纂浄土宗大辞典
あぐい/安居院
比叡山東塔北谷竹林院の里坊で、現在の京都市上京区前之町にあった寺の名。平安末期に説教の名手として名高い澄憲が住し、実子の聖覚、孫の隆承らが血統相続して、代々能説者を輩出したので、一門の呼称ともなった。澄憲は、藤原通憲すなわち信西の七男で、権大僧都・法印を歴任した高僧で安居院法印と号し、「四海大唱導一天名人」と『尊卑分脈』に評されるほど弁才に優れていた。聖覚も、父と同じく安居院法印と号したが、同時に法然の門人ともなった。安居院は応仁の乱によって焼失して廃絶した。
【参考】永井義憲・清水宥聖編『安居院唱導集』上(角川書店、一九七二)、「安居院唱導資料纂輯」一~六(国文学研究資料館『調査研究報告』一二~一七、一九九一~九六)
【執筆者:吉原浩人】