但称念仏
提供: 新纂浄土宗大辞典
たんしょうねんぶつ/但称念仏
ただ往生を願いながら称える念仏をいう。聖光『授手印』には口称正行について「心には往生の念を志して、口には南無阿弥陀仏と称す」(聖典五・二二六)とあり、また正行について「心には三心を存して、口には南無阿弥陀仏と称するなり」(同)とあり、称名念仏は往生を願いながら、また三心を具足して行うものであることが示されている。良忠『疑問抄』上(聖典五・三〇九~一六)にはこのことについて在阿からの問いがあり、ある人が称名には意地の観を用いるべきとしていることと『授手印』の説示の相違の指摘から問答が設けられ、善導説示の口称念仏も三心のほかに名号を称える以外に別の念はないとしている。
【資料】『念仏選摧評』(浄全八)
【参照項目】➡但信称名
【執筆者:沼倉雄人】