下生
提供: 新纂浄土宗大辞典
げしょう/下生
仏や菩薩が人間界に来生すること。仏・菩薩に一般的に用いられるが、特に弥勒菩薩の下生が有名である。また『無量寿経』には「兜率天に処して正法を弘宣し、かの天宮を捨て神を母胎に降し、右脇より生ぜり」(聖典一・二一四/浄全一・一)とあり、仏となるものは兜率天にいて、そこから母体へと降りて右脇から生まれ出るとされる。これは釈尊の出生をもとに作られたものであろうが、諸仏一般の特質とも考えられたようである。その中でも弥勒菩薩の下生は『弥勒下生経』と経典にもなっているように有名である。未来仏である弥勒は、一般に釈尊滅後から五六億七千万年後に仏となるために、兜率天からこの世に下生するといわれている。
【執筆者:石田一裕】