四箇格言
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:26時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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しかかくげん/四箇格言
日蓮述作中の、浄土・禅・真言・律の四宗の罪過を述べた言述に対する通称。日蓮『諫暁八幡抄』(立正大学宗学研究所編『昭和定本日蓮聖人遺文』二・一八四五)等に出る類言を指す。「念仏無間 禅天魔 真言亡国 律国賊」の定型で知られる。日蓮は上述の四宗が国情を不安にし、国家が『法華経』を受容するのを阻害するものとみなした。四箇格言は長く日蓮門流にとって折伏弘教の拠り所であったが、近代になり優陀那日輝、新居日薩等、時流を鑑みて用いないとする者も現れた。日薩は「仏を念ずれば間なく、天魔禅なり。言真なれば国亡す、国の賊律まる」と読み換えたと伝わる(南条文雄『懐旧録』七四頁、『南条文雄著作集』大雄閣、一九二七)。現在の日蓮宗もその流れをくみ、四箇格言に教化の上で絶対的な意義を付与しない傾向がある。一方で田中智学や本多日生等は日蓮の要言として、四箇格言の宣揚を訴えた。
【参考】市川浩史「四箇格言の意味」(福神研究所編『日蓮的あまりに日蓮的な』〔『福神叢書』二〕太田出版、二〇〇三)、大谷栄一『近代日本の日蓮主義運動』(法蔵館、二〇〇一)、石川教張「明治維新期における日蓮宗の動向」(池田英俊編『論集日本仏教史』八、雄山閣、一九八七)
【参照項目】➡念仏無間
【執筆者:小澤憲雄】