宋・志磐『仏祖統紀』の巻二六より巻二八に収録。はじめに蓮社七祖として慧遠・善導・承遠しょうおん・法照ほっしょう・少康・延寿・省常の祖師をたてその伝記を記し、ついで慧遠が廬山ろざんで結成した念仏結社に入社した諸賢の伝記を記す。つぎに往生高僧伝、往生高尼伝、往生雑衆伝、往生公卿伝、往生士庶伝、往生女倫伝、往生悪輩伝、往生禽魚伝、往生続遺の項目別に往生者の事例を記す。中国浄土教の伝承の系譜と従来の往生伝とを加えた新しい形式。先行の往生伝に比して在俗者の事例が多く、また「悪輩」「禽魚」の事例をもあげる点に特色がある。
【所収】正蔵四九
【執筆者:佐藤成順】