いだみだべん/已堕未堕弁
一巻。忍澂述。不更悪趣願について述べた『選択集』三に対し、明恵の論難以来、歴代諸師による議論になっていた問題に見解を述べた書。悪趣にかえるのは未だ悪趣に墜ちない「未堕」の者か、またはすでに墜ちた「已堕」の者かという問題を、忍澂が偶然発見した『直牒』の古本に基づき、両者に通ず、と結論を出している。学友の雲臥は『已堕未堕評決』を打ち出してこれに反駁している。
【資料】義山『無量寿経随聞講録』
【参考】石井教道『選択集全講』(平楽寺書店、一九五九)
【参照項目】➡不更悪趣願
【執筆者:渋谷康悦】