精進落とし
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうじんおとし/精進落とし
精進という、仏教において禁欲的な生活から普通の日常生活に復帰する際におこなわれる飲食のこと。精進明け、精進上げ、精進落ち、まないたなおしなどともいう。精進期間中の、海草や野菜などを中心にした料理(精進料理)から解放され、肉や魚を食べたり酒を飲んだりすることがおこなわれる。そのことによって精進に入る前の平常の生活に戻ることができると考えられている。食事は生命維持のためだけではなく、身体や精神の状態を変化させるための儀礼としての意味も持つ。近年では、葬儀の服喪の期間が終わる忌明けの際に食べる食事を精進落としと呼ぶことが多い。また、成人儀礼としておこなわれる社寺参詣や山岳登山の後に遊興することも、日常へ回帰するという意味で精進落としと呼ばれることがある。
【参考】柳田国男「食物と心臓」(『柳田国男全集』一四、筑摩書房、一九六九)
【参照項目】➡精進二
【執筆者:齋藤知明】