仏や菩薩の呼称の一つ。仏や菩薩が衆生に法を説くことを、すぐれた医師が病人を治療することに譬えていう。釈尊を大医王と呼ぶことは阿含経典からみられ、その四つの徳を「一には善く病を知り、二には善く病源を知り、三には善く病の対治を知り、四には善く治病を知る」(『雑阿含経』一五、正蔵二・一〇五上)とあらわしている。また薬師如来の別称としても使用される。薬師の十二誓願第七(『薬師本願経』正蔵一四・四〇一下)に一切衆生の諸々の痛悩を除く願があることから、特に日本でこのように呼称されるようになった。
【参照項目】➡応病与薬
【執筆者:大屋正順】