さとうもん/茶湯文
茶を仏前や霊前に供えるときに唱える文。「以諸法薬 救療三苦 顕現道意 無量功徳」。『無量寿経』上(聖典一・八、二一五/浄全一・二)に出る。薬が病を癒すように、仏法は三苦を癒す救いであり、道を求める心が量りなき功徳を現す、との意。『諸回向宝鑑』(二・一四オ)・『浄土苾蒭宝庫』下(四一オ)に「供茶湯文」として出る。昭和八年(一九三三)の『浄土宗法要儀式大観』(一三二)に「茶湯を供うる文」として収載。『法要集』には「奠茶の文」の例示として上二句のみを載せる。茶が薬として用いられていたために唱えられている。
【参照項目】➡奠茶
【執筆者:巖谷勝正】