さいせん/賽銭
神仏に供えられる金銭で、神仏への崇敬の意を表すため、また祈願のために納められる。太古より神前には賽物が捧げられ、仏教伝来以降には、寺院にも賽物が捧げられるようになった。賽物の品目は多岐にわたっていたが、その中心は米であり、散米と呼ばれていた。中世以降、貨幣の流通により、賽物が漸次貨幣へと代わってゆき、賽銭、散銭、参銭と呼ばれるようになった。寺社に賽銭箱が設置されるようになったのは、室町期以降と考えられる。
【参考】新城常三『社寺参詣の社会経済史的研究』(塙書房、一九六四)
【執筆者:名和清隆】