五存七欠
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:23時点における192.168.11.48 (トーク)による版
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ごぞんしちけつ/五存七欠
〈無量寿経〉の訳出に関する用語。この経典は一二回訳出されて、現存するものが五つ、散失したものが七つあるという意味。凝然『源流章』に紹介されている。五存とは①『阿弥陀三耶三仏薩楼仏檀過度人道経』(通称『大阿弥陀経』)、②『無量清浄平等覚経』、③『無量寿経』、④『大宝積経』無量寿如来会、⑤『大乗無量寿荘厳経』のこと。七欠とは①安世高訳『無量寿経』二巻、②帛延訳『無量清浄平等覚経』二巻、③竺法護訳『無量寿経』二巻、④竺法力訳『無量至真等正覚経』二巻、⑤仏駄跋陀羅訳『新無量寿経』二巻、⑥宝雲訳『新無量寿経』二巻、⑦曇摩蜜多訳『新無量寿経』二巻のこと。五存については訳出者の問題が議論されている。また、七欠については、実際の訳出がなかったのではないかとする説がある。この他、法蔵菩薩の発願から第五願までの部分に相当する内容を持つ中央アジア出土資料中の漢文写本断片が発見されたが、これは上の五存のいずれとも一致しない。七欠の一本であるという証拠もないため、検討を要する資料である。
【資料】『無量寿経随聞講録』
【参考】藤田宏達『原始浄土思想の研究』(岩波書店、一九七〇)、同『浄土三部経の研究』(同、二〇〇七)
【参照項目】➡無量寿経、阿弥陀三耶三仏薩楼仏檀過度人道経、無量清浄平等覚経、大宝積経無量寿如来会、大乗無量寿荘厳経
【執筆者:石田一裕】