虚仮心
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:23時点における192.168.11.48 (トーク)による版
2018年3月30日 (金) 06:23時点における192.168.11.48 (トーク)による版
こけしん/虚仮心
外相と相違している心、すなわち真実でない心をいう。至誠心に対する語。良忠は『決疑鈔』において虚仮心を「諂曲誑他の心なり」(浄全七・二六八下)として七十五法のうち、諂・誑の二つの精神作用を示している。諂曲誑他とは自己の本心を包み隠して従順を装い、またそれらが外相に現れた結果、他人を惑わすことを示したものと考えられる。良忠は『疑問抄』に「内心には名聞・利養を求め、外相には往生の行儀を現して、これを諂い偽る者は、これはこれ虚仮心具足の行者なり。往生可わざるの心なり。故上人の御義この趣を出でず。これ先師の相伝なり」(聖典五・三二七~八)と説明し、虚仮心具足の状態では往生できないと述べ、これは法然—聖光から伝えられた相伝であるとしている。
【資料】『決疑鈔』、『疑問抄』
【執筆者:沼倉雄人】