園城寺おんじょうじ長吏四四・四七世の公胤が建保四年(一二一六)四月二六日に法然は勢至菩薩の権者であると知らされた夢告。『西方指南抄』『四巻伝』『私日記』などにある。智慧第一の法然房とその学識の卓越さが世に称讃された法然が勢至菩薩の示現であると信仰された様子が知られる。この夢告の背景には『首楞厳経しゅりょうごんきょう』の勢至円通の文がある。またこの夢告の文言には広略があり『四巻伝』のものが全容と考えられている。
【参考】中野正明『法然遺文の基礎的研究』(法蔵館、一九九四)
【参照項目】➡公胤
【執筆者:能島覚】