親鸞独自の「浄土三部経」の捉え方。『教行信証』化巻に示される。すなわち『観経』と『阿弥陀経』には釈尊が浄土への往生行として定善の十三観、散善の三福・九品の行、一心不乱の念仏などの行業や信心を説くが(顕説)、各々の教えは実に密意みっちである弘願の真実へ誘引するための方便の教説であり、『観経』の釈尊微笑の素懐と『阿弥陀経』の無問自説の経意は『無量寿経』の第十八願の利他一心への通入のためと理解したもの。
【執筆者:能島覚】