決疑鈔直牒見聞
提供: 新纂浄土宗大辞典
けつぎしょうじきてつけんもん/決疑鈔直牒見聞
一
三巻。『直牒見聞』とも呼ばれる。聖冏『直牒』の注釈書。著者については聖聡と了暁の二説がある。『直牒』一〇巻において書き残されている問題や、難解な文字を解釈する内容。了暁は聖聡門下で浄土教を学び、後に飯沼弘経寺二世となり、三河大恩寺を開創している。聖聡の説を了暁がまとめたのが本書と考えられている。
【参考】石井教道『選択集の研究 註疏篇』(誠文堂新光社、一九四五)
【執筆者:東海林良昌】
二
写本、二巻一冊。『直牒一見聞聚集』というほか大日比本表題には『直牒一輪超見聞』の名もみられる。三誉輪超撰。承応三年(一六五四)の作。『直牒』の註疏で、選者の師である無絃が『直牒』第一巻に引用されている内典(仏書)・外典(漢籍)の故事・文句を註解したものに、輪超が追加増補して二巻としたもので、特に外典の註解が詳しい。また、私見を加えたところもあり、例えば『直牒』に法然の開宗を四三歳とし、『年代記』を引いているが、『年代記』には「承安四年」とあるので、法然四二歳のときになるとして、宗旨の書物と『年代記』との相違を指摘している。
【参考】石井教道『選択集の研究 註疏篇』(誠文堂新光社、一九四五)
【執筆者:原口弘之】