結
提供: 新纂浄土宗大辞典
けつ/結
煩悩の異称で、心に結びつき縛るという意。原語はⓈsaṃyojana。『婆沙論』四六に「繫縛の義是れ結の義、合苦の義是れ結の義、雑毒の義是れ結の義なり。此の中、繫縛の義是れ結の義とは、謂はく結は即ち是れ繫なり」(正蔵二七・二三七下)とある。三結、四結、五結、五順下分結、五順上分結、九結という分類があり、このうち三結は有身見結・戒禁取結・疑結もしくは愛・恚・無明をさす。四結は貪嫉身結・瞋恚身結・戒取身結・貪著是実身取身結の四つ。五結は貪・瞋・慢・嫉・慳の五つ。五順下分結は欲貪・瞋恚・有身見・戒禁取・疑の五つの順下分結。五順上分結は色貪・無色貪・掉挙・慢・無明の五つの順上分結。九結は愛・恚・慢・無明・見・取・疑・嫉・慳の九つである。
【資料】『成実論』一〇
【参考】西村実則『アビダルマ教学—俱舎論の煩悩論—』(法蔵館、二〇〇二)
【執筆者:西村実則】