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提供: 新纂浄土宗大辞典

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あん/庵

出家した僧侶や尼僧、世俗を避けた隠遁者が住む小住居。草庵、庵室、退去庵ともいう。住する者を庵主あんじゅといい、人里離れた場所に小さな住居を構え、閑居な宗教生活を送った。後に文人や茶人などの小住居も庵と称するようになった。庵は、寺院とは異なり、寺格・寺産・寺名・檀信徒らの条件がそろっていることは少ない。大寺院境内にある塔頭たっちゅうも庵の一つとみなされる。法然は承安五年(一一七五)、専修念仏の道を決意し比叡山黒谷別所を出て京都の白川の地に庵室を結んだが、これがのちの黒谷金戒光明寺へと発展した。これと前後して法然は、京都の東山吉水にも庵を構え、人々に念仏をすすめた。この庵が現在の知恩院の前身とされる。


【参照項目】➡庵主戒名


【執筆者:工藤美和子】