黒谷源空上人伝
提供: 新纂浄土宗大辞典
くろだにげんくうしょうにんでん/黒谷源空上人伝
一巻。『十六門記』『黒谷上人伝』『上人伝記』『法然上人伝』ともいう。本書は詞書のみで、法然の一生および滅後の門弟による念仏弘通と、山門衆徒による法難に至るまでを一六段に分けて記述する。本書は「聖覚記」となっているが、年代表記および記載事項に曖昧な点が確認できることから、従来より製作年次ならびに聖覚の作とすることには疑義が呈されている。
【所収】浄全一七、法伝全、『続群書類従』九輯上、『日本精神文化大系』四「鎌倉時代編」(抄)
【参考】大屋徳城「十六門記の真偽を論ず」(『日本仏教史の研究』三、国書刊行会、一九八八)、井川定慶「元祖滅後法難記録発見に関して」(『摩訶衍』二—二、一九二二)、今岡達音「法然上人伝記解題」(浄土学五・六、一九三三)、田村円澄「法然伝の系譜」(『法然上人伝の研究』法蔵館、一九七二)、法然上人伝研究会編『法然上人伝の成立史的研究』二、三(知恩院、一九六二)、三田全信「黒谷源空上人伝(十六門記)」(『成立史的法然上人諸伝の研究』光念寺、一九六六)
【執筆者:米澤実江子】