究竟大乗
提供: 新纂浄土宗大辞典
くきょうだいじょう/究竟大乗
要偈四句の第一句冒頭の語。「大乗仏教の究極の真理」という意。すなわち要偈第一句の「究竟大乗浄土門」とは大乗仏教の究極は浄土門であるということを主張している。この句は三部経の中では『無量寿経』を指し、弥陀・釈迦・諸仏の三仏の中では阿弥陀仏を指している。『無量寿経』には諸行を廃し念仏一行をもって本願とされ、また三輩それぞれに「一向に専ら無量寿仏を念じ」(聖典一・二四九/浄全一・一九)とあり、後段に「一乗を究竟して、彼岸に至る」(聖典一・二五八/浄全一・二三)とある。聖光はこの一乗について「今浄土宗の一乗は何と云う一乗ぞや。答う、浄土宗の一乗は、一向専修の南無阿弥陀仏の一乗なり。此の行の外に更に余行無し」(『西宗要』浄全一〇・一五五下)と述べ、念仏が『無量寿経』に説かれる究竟すべき一乗であるとしている。
【資料】『吉水瀉瓶訣』『浄業信法訣』(『伝灯輯要』)
【参照項目】➡要偈
【執筆者:沼倉雄人】