寺社のために勧進を行う尼のこと。紀州熊野山から派遣された熊野比丘尼が、諸国を勧進して歩き牛王ごおう札を与え熊野詣くまのもうでを先導したことにはじまる。中世末期から近世にかけて熊野の霊験や地獄極楽の絵巻物の解説をしながら念仏を称え、歌を歌う形で勧進が行われるようになったため次第に絵解きよりも歌が中心とされるようになり、歌比丘尼とも呼ばれるようになった。
【参考】根井浄・山本殖生『熊野比丘尼を絵解く』(法蔵館、二〇〇七)
【参照項目】➡勧進二
【執筆者:工藤美和子】