仏になろうと願う心。転じて、浄土に往生したいという心をおこすこと。『無量寿経』下では願生者を三輩に区別するが、それらはいずれも無上菩提心をおこすべきであると説かれる。曇鸞はこの無上菩提心について『往生論註』下のなかで、浄土へ往生を願う者は、ただ浄土での受楽無間を願うべきでなく、まず自ら仏になろうと願う心をもつべきことを強調する。また大乗菩薩道の立場から、そのような自利心と同時に、他の衆生と共に浄土へ往生しようとする利他心の二心を具足することが、願生者には必要であるとされる。
【参照項目】➡自利・利他、菩提心
【執筆者:石川琢道】