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加被

提供: 新纂浄土宗大辞典

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かび/加被

仏がそのすぐれた力を衆生に対して加えこうむらせること。加備、加祐、加威ともいう。加被顕加けんが冥加みょうがのふたつに分けられる。顕加は目に見える力、冥加は目に見えない力である。善導観経疏』玄義分の十四行偈には「無礙神通力をもって、冥加して願わくは摂受したまえ。…請い願わくは遥かに加備したまえ。念念に諸仏を見たてまつらん」(聖典二・一六〇/浄全二・一上)とある。良忠は『伝通記』に、十四行偈のなかに「念念見諸仏」(念念に諸仏を見たてまつらん)とあるのはむしろ顕益(顕加)を指すのではないかとの問いに対して、「上には先ず冥加を請す。機感の時熟するが故に、下には〈見諸仏〉と云う。始めには冥、後には顕、故に相違無し」(浄全二・一〇一上正蔵五七・五〇九下~一〇上)と註釈し、はじめは冥加を願うが、のちに機根が熟すことによって見仏の顕益が得られるとしている。また、『法事讃』にも冥加について「大悲の恩重くして、等しく身田を潤し、智慧冥に加して道芽増長す」(浄全四・一上正蔵四七・四二四下)といい、等しくゆきわたった阿弥陀仏智慧の力によって、衆生仏道の芽が増長してゆくことを説いている。


【参照項目】➡冥加護念


【執筆者:工藤量導】