無為涅槃界
提供: 新纂浄土宗大辞典
むいねはんかい/無為涅槃界
因果を離れた不生・不滅の永久不変の世界。『無量寿経』に「かの仏の国土は、清浄安穏にして微妙快楽なり。無為泥洹の道に次げり」(聖典一・二四四/浄全一・一七)と説示されていることから無為泥洹ともいう。善導は『法事讃』下において「極楽は無為涅槃界なり」(浄全四・二一上)とし、阿弥陀仏の西方極楽浄土を無為の世界であり、一切の煩悩を滅した涅槃の世界であるとしている。ゆえに浄土教では無為涅槃界を阿弥陀仏の西方極楽浄土と結びつけて理解する。その極楽浄土について「随縁雑善恐らくは生じ難し」(同)とし、行者の縁に応じてなされる雑行では往生が難しいとしている。そして、念仏一行がいかに勝れた実践行かを論じている。さらに、法然は『選択集』一三において「念仏を以て多善根と為し、雑善を以て少善根と為すの文」(聖典三・一七五~七/昭法全三四四)として『阿弥陀経』、善導『法事讃』を引用し、さらに念仏がいかに多善根であるかを論証していく。ゆえに無為涅槃界である極楽浄土に往生するには、多善根である念仏一行であるとする。
【執筆者:鷹觜観道】