極楽に往生したとして尊崇される人。また往生伝や各種の伝記などで往生したと考えられた人。転じて極楽往生ができる人を往生人という場合もある。ある人が実際に往生できたかどうか、遺された者には確かめるすべがない。そのため、臨終に芳ばしい香りが満ちる、妙なる音楽や念仏の声が聞こえる、美しい光明や孔雀を見る、弥陀や聖衆の来迎を見たと語る、予告の時日に往生した、紫雲がたなびく、死者が阿弥陀の定印を結ぶ、遺体が腐爛しない、死後に肉親・知友に往生の夢告があるなどの奇瑞を往生人の証拠とした。
【執筆者:吉原浩人】