ずこうとうれん/頭光踏蓮
九条兼実が拝した法然の聖姿のこと。法然が兼実の邸宅である月輪殿に赴き、数時間の法談を交わした後、帰路に着いた法然が池上の橋を渡り始めると、地面を離れ、虚空に蓮華を踏み、頭の後ろに光が現じ、それを目にしたのは兼実一人だけであったという(『四十八巻伝』八、聖典六・八七)。兼実が法然を仏のごとく敬ったことを表す諸伝の一場面である。義山は、本話を「今大師の影像に後に円光御足に蓮華を営造こと是より起れりとぞ申侍る」(『翼賛』八、浄全一六・一八五下)と、造像の起源として指摘している。
【参照項目】➡頭光踏蓮の御影、九条兼実
【執筆者:東海林良昌】