跡部の踊り念仏
提供: 新纂浄土宗大辞典
あとべのおどりねんぶつ/跡部の踊り念仏
長野県佐久市跡部の西方寺(浄土宗)で行われている踊り念仏。現在は毎年四月の第一日曜日に行われている。起源は、弘安二年(一二七九)に一遍が善光寺に参詣した際、今の跡部に立ち寄って霊感を得て始めたといわれている。昭和に入ってから一時中断されていたが、昭和二七年(一九五二)から再開された。内容は、青年と老年が三〇人ほど集まり、本堂の中に太鼓を中心とし、周囲に板塔婆を立てた垣を巡らす。その四方に発心・修行・菩提・涅槃と呼ばれる門を設けた二間四方の道場を作り一〇人一組となって、鉦を打ちながら「南無阿弥陀仏」と念仏を称え反時計回りに輪になって回る。最初は静かに回るが、次第に手に持った鉦を打ちながら体を激しく左右に揺すって太鼓の周りを何周も回る。このときに念仏を称えている人は無我の境地に達するといわれる。そして、静かに回って次の組と交替する。平成一二年(二〇〇〇)に国の重要無形民俗文化財に指定された。
【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)
【参照項目】➡踊り念仏
【執筆者:齋藤知明】