霊巌院
提供: 新纂浄土宗大辞典
れいがんいん/霊巌院
奈良市林小路町。永亀山肇叡寺。奈良教区№一四。知恩院末寺であった。天正一九年(一五九一)、霊巌により開基。霊巌が現在の千葉の大巌寺から南都へ移り庵を結んでいたが、弟子五、六〇人が随身してきたので、寺院を建立し霊巌院とした。霊巌はその地で法問・講釈・談義などに勤めたが、住して三年目の文禄二年(一五九三)、徳川家康の命により再び千葉の大巌寺へ戻っていった。また、かつて念仏のための叩鉦は興福寺により禁じられていたが、霊巌が鉦を打ち、それより禁制がなくなったという。境内には『奈良坊目拙解』の著者村井古道(一六八一—一七四九)の墓や庚申堂がある。
【資料】『浄土宗寺院由緒書』上(『増上寺史料集』五)、『奈良坊目拙解』
【参照項目】➡霊巌
【執筆者:三宅徹誠】