立撮即行
提供: 新纂浄土宗大辞典
りっさつそくぎょう/立撮即行
来迎の相をした立像の阿弥陀仏のこと。善導『観経疏』定善義に、『観経』第七観の「無量寿仏、空中に住立したまう」(聖典一・二九七/浄全一・四二)の文を釈すときに用いられる語。善導は第七観において阿弥陀仏が空にあらわれたのは、「回心正念にして、我が国に生ぜんと願ずれば、立どころにすなわち、生ずることを得せしむることを明す」(聖典二・二六二/浄全二・四四下)と述べる。そして阿弥陀仏が立った姿であらわれたのは「もし足を挙げて、以て迷を救わずんば、業繫の牢何に由ってか勉かるることを得ん。この義を為ての故に、立撮して、すなわち行って、端坐して以て機に赴くには及ばず」(同)と釈している。良忠の『伝通記』には「衆生の悪趣に堕せる苦を救わんが為に周慞して急に来たる。故に立撮と云う」(浄全二・三三七上)とある。煩悩に苦しめられている衆生を少しでも早く救うために、大悲をもって自ら立ち上がり、救いの手をさしのべようというのである。立撮即行の阿弥陀、立撮即行の来迎仏などといわれる。
【執筆者:髙橋寿光】