垂水良運著。四冊。明治一五年(一八八二)三月から同一七年一〇月までに吉水大智が刊行。僧俗を問わず明治初期の代表的な念仏信者四五名の往生の様子が記されている。「序」「述意」に続く「予言」には本書が「本願他力の一教は澆末ぎょうまつに現証あるを示さん」がために書かれたとある。垂水良運ははじめ『明教新誌』に往生伝を載せていたが、それが「一帋短箋ノ書」であったため、吉水大智は後に滅してしまうことを惜しみ、それらを基本にして追加整理した上で刊行したとある。本書の初めには垂水良運による「序」、吉水玄信による「述意」があり、各巻の末には「結勧」がある。
【執筆者:長尾隆寛】