一巻。貞極撰。詳しい成立年は不明だが、本書奥書に「享保十乙巳年三月中旬書于東武洗耳庵」(続浄一二・二二四下)とあり、享保一〇年(一七二五)に書写されたとあるので、成立はそれ以前、おそらく一八世紀初頭頃のものであろう。貞極が円戒について正しい理解がなされていないことに危機感を抱き、円戒を学ぼうという者のために志を述べた書。内容は円戒を概説した後に、戒相と料簡を説く。小著だが、円戒について様々な点に言及しており、貞極の見識の深さがうかがわれるものである。
【所収】続浄一二、『四休菴貞極全集』上
【執筆者:石田一裕】