本誓偈
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほんぜいげ/本誓偈
阿弥陀仏に向けた回向文。日常勤行などで唱える偈文。本誓とは阿弥陀仏がその昔、因位の法蔵比丘であったときに発した誓願であり、偈とは一句の字数を均一にした韻文である。「弥陀本誓願 極楽之要門 定散等回向 速証無生身」(聖典二・四/浄全二・一上)。これは善導の『観経疏』玄義分の劈頭にある十四行偈(発願帰敬偈)から抜粋したものである。阿弥陀仏がその因位の法蔵比丘であったとき発した四八の誓願、それは極楽往生のための肝要な法門である。心を集中させて修める善行も、心が散り乱れたままで修める善行も、ともにこれを行って往生浄土のために回向し、すみやかに往生して無生の身、すなわち悟りを証得しよう、という定善と散善の諸行を浄土往生のためにふりむける回向の偈である。
【執筆者:齊藤隆信】