本願往生仏意一乗
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほんがんおうじょうぶっちいちじょう/本願往生仏意一乗
数ある仏説のなか、阿弥陀仏の本願が声聞乗・縁覚乗・菩薩乗のどれかに対応した個別の教え(三乗教)ではなく、この一つの教えですべての者が救われるということ。また、阿弥陀仏の意にすべての仏説が収まるということ。聖光の『西宗要』に説かれる説で、「衆生と仏と唯だ是れ一心なりと云うなり。…この心性真如を具足する人、念仏して極楽に往生して終に此の理を顕さんと云う一乗なり。されば本願往生の仏意の一乗なり」(浄全一〇・一五六上)といい、仏と衆生が離れずに一心に収まるという意を具足できた者は、阿弥陀仏意一乗の者であるとしている。また、善導『観経疏』において、この阿弥陀仏の意について「頓教一乗」であるともいい、漸教(解脱までに間隔がある教え)と頓教(速やかに解脱を得る教え)の二教の分類の内、頓教であるとし、中国諸師が否定的に捉えていた漸教には属さないことを主張し、頓教に属する阿弥陀仏の意によってすべての衆生が救われると主張している。
【資料】『西宗要』、良忠『浄土宗要集聴書』(共に浄全一〇)、良忠『東宗要』(浄全一一)
【執筆者:郡嶋昭示】