法然立像の頭の上に宝瓶を描いて勢至応現を示した御影。知恩院蔵。法然の幼名が勢至丸であり、また「法然の本地身は大勢至菩薩なり」(聖典六・五五八/法伝全二三三)と法然のことばとして『四十八巻伝』三五に載せているように、法然は勢至菩薩の応現であった。そのことを形に表したものがこれである。すなわち勢至菩薩が宝冠の正面に水瓶をいただいている点を模倣し、この御影も頭頂に宝瓶をいただいている。頭光があり踏割蓮華ふみわりれんげに立つ姿である。この御影は多く模写され他に、兵庫県高砂市十輪寺の御影は特に著名である。【図版】巻末付録
【参照項目】➡法然上人御影、宝瓶
【執筆者:成田俊治】