三巻。良忠撰。善導『法事讃』の注釈書。本書の成立の事情や成立年代は不明であるが、良忠は他の五部九巻の注釈書も撰しており、ともに建治二年(一二七六)頃、京都において撰述されたと考えられる。内容は、はじめに五部九巻の成立次第を述べ、つぎに『法事讃』本文の解釈へとつづく。その本文解釈では、まず題号について述べ、つぎに本文を序分・正宗分・流通分に分類したうえで逐次解説している。浄土経典のみならず、広く諸経論を用いて解説する姿勢からは、良忠の博識ぶりをうかがうことができる。
【所収】浄全四
【執筆者:齊藤隆信】