べんずい/弁瑞
—文政八年(一八二五)。響誉念仏。北海道でアイヌの人々を念仏で教化し、文書伝道に大きな業績を残した。俗姓は佐藤氏。山形に生まれ、失踪した父を捜すために禅宗で出家して各地を行脚。後に浄土宗に移り、一七箇寺を経て二本松蓮台寺の随応の弟子となる。幕命で北海道・有珠善光寺に赴任し、そこで『念仏上人子引歌』を著した。これは、念仏信仰を平易な歌にまとめそれをアイヌ語に訳したもので、師のアイヌ教化の情熱が伝わる資料である。また、念仏を勧めた和讃『結縁同行蓮華講中勧化和譚』もまとめている。
【参考】須藤隆仙『北海道と宗教人』(教学研究会、一九六五)
【参照項目】➡子引歌
【執筆者:渋谷康悦】