不発誓戒
提供: 新纂浄土宗大辞典
ふほつせいかい/不発誓戒
『梵網経』に説かれる四十八軽戒のうちの第三六戒。仏弟子たる者は仏の禁戒を持ち、およそ次のような願を発して宣言すべきであるとする。すなわち、いかなる困難に遭遇しようとも、ついに破戒の身となって①一切の女人と不浄の行いをすることはない、また信心の檀越から、②一切の衣服を受けることはない③百味の飲食を食べることはない④臥具を受けることはない⑤百味の医薬を受けることはない⑥房舎・屋宅・園林・田地を受けることはない⑦恭敬・礼拝を受けることはない、さらに破戒の心となって、⑧美しいものを視ることはない⑨美しい音声を聴くことはない⑩もろもろの香りを貪って嗅ぐことはない⑪百味の浄食を食することはない⑫心地よい触感に貪り執することはないとの願、最後に⑬一切の衆生を成仏させようとの願である。菩薩がこうした願を発さないならば軽垢罪に当たるとしてこれを制する。
【参考】石田瑞麿『仏典講座一四 梵網経』(大蔵出版、一九七一)
【執筆者:袖山榮輝】