木製の扇の一種。宮中などで束帯・衣冠いかん・直衣のうしなどを着した大礼の際に用いられたものであったが、僧が法衣を被着するときに執持物として用いるようになった。形状は、檜の柾目まさめの薄板を数枚重ね合わせて要かなめをさだめ、上端部を白絹糸にて綴じ合わせ、外側には房を飾る。一枚の薄板を橋きょうと数えた。増上寺御忌などのとき、会奉行・会行事・式衆は檜扇を用いる。昭和五八年(一九八三)『法要集』が新訂されたときに、扇は中啓と広骨扇の二種のみとなった。
【参照項目】➡扇
【執筆者:中野晃了】