堪え忍ぶこと。ⓈkṣāntiⓅkhantīⓉbzod pa。羼提と音写する。忍辱波羅蜜として六波羅蜜の一つに数えられる。忍辱の原語であるkṣāntiには①耐え忍ぶこと、堪忍すること、②認めること、忍可すること、という二種の意味がある。六波羅蜜として説かれる忍はおおよそ前者の堪忍を意味し、玄奘訳『摂大乗論』中によると、忍とは怒りや怨みを滅し、自己と他者をともに安穏な状態にさせる働きである。無生法忍として説かれる忍は後者の認めること、あるいは智恵を意味する。
【参照項目】➡六波羅蜜
【執筆者:石田一裕】