元興寺文化財研究所編。昭和六二年(一九八七)二月、中央公論美術出版刊。智光曼荼羅・当麻曼荼羅・清海曼荼羅の「浄土三曼荼羅」について歴史・美術史・建築史・文学史の各分野から総合的に研究を行った書。三曼荼羅はいずれも八世紀に製作された阿弥陀浄土変相図が原本であると考えられ、近世までその写しが連綿と製作され続けてきている。本書は、まずその歴史的展開を明らかにし、さらに三曼荼羅の図像的研究、曼荼羅を安置した堂や厨子、曼荼羅をめぐって伝承されてきた法会や講説、曼荼羅の説話や縁起についてそれぞれ検討している。
【執筆者:高瀬麻衣】