二尊二教
提供: 新纂浄土宗大辞典
にそんにきょう/二尊二教
釈迦と弥陀の教説は教意が各別であるということ。西山派および真宗の説。二尊一教の対。証空は『観経』の内容について、釈迦教は要門(定散諸善)を説き、弥陀教は弘願(本願念仏)を説くといい、その上で両者の不二一体の関係を述べている。したがって、二尊教はいつまでも釈迦・弥陀別々の二教ではなく、究極的には弥陀一教に帰一するとする。証空の『観門要義鈔』には二尊教に能請所請・能説所説・能為所為の三義があるとする。つまり、念仏観仏両三昧を宗とする立場からすれば二尊二教、要門の立場からすれば二尊一教、弘願の立場からすれば一尊一教であるという。真宗では、『観経』正宗分は定散を説かれるから二尊二教とし、流通分では釈迦が念仏を付属しているから二尊の意が一致し、二尊一教であるとする。
【資料】『観経疏他筆鈔』、『観経玄義分楷定記』一、二、『観経玄義分秘鈔』一、二、『伝通記』玄義分記二、『玄義分略鈔』一、『糅鈔』一〇、『徹選択集私志記』上
【執筆者:笠島崇信】