運心
提供: 新纂浄土宗大辞典
うんしん/運心
1菩薩戒を受ける際、懺悔における心の置き方。湛然の『授菩薩戒儀』において、「逆順の十心を運んで重罪をまさに滅すべし」(聖典五・五一一)とし、生死の罪を順流の十心として明かし、これを逆上する心を逆流の十心とする。逆流の十心とは、正しく因果を信じる、自ら愧て剋責する、悪道を怖畏する、瑕玼を発露する、相続の心を断じる、菩提心を発す、功を修し過を補う、正法を守護する、十方の仏を念じる、罪性の空を観じる、の一〇の心であるとし、これら逆流の十心に沿って心を運ぶよう説いている。2浄土に心を寄せること。『往生要集』上に「念仏の功積もり、運心年深き者は、命終の時に臨みて大いなる喜、自ら生ず」(正蔵八四・四一中)とある。また法然の『登山状』にも「弥陀の本願を信じて念仏の功を積もり運心年久しくば、なんぞ願力を信ぜずというべきや」(聖典四・五〇五)とある。
【執筆者:菊山隆嘉】